花粉症の治療はお早めに

 奈良県医師会 七浦 高志

 間もなくスギやヒノキの花粉症シーズンになります。この時期を迎えるのが憂鬱という方も多いと思いますが、正しい知識を持って十分な対策をとれば、症状を和らげ、快適に過ごすことができます。

 まず、花粉症の症状が出る仕組みについてお話しします。 間もなくスギやヒノキの花粉症シーズンになります。この時期を迎えるのが憂鬱という方も多いと思いますが、正しい知識を持って十分な対策をとれば、症状を和らげ、快適に過ごすことができます。

 人には異物から身を守る機能が備わっています。花粉症の人の体内に花粉が入ると、体はそれを異物として認識し、異物を攻撃するためにIgEという抗体をつくります。抗体は目や鼻の粘膜にある肥満細胞といわれる細胞と結合し、花粉が入る度にこのことが繰り返されて抗体と結合した細胞が増えていき、ある量を超えた段階で、鼻水やくしゃみの原因となるヒスタミンや、鼻づまりの原因となるロイコトリエンなどの化学伝質を放出するようになります。つまり、くしゃみや鼻水で花粉を追い出し、鼻づまりで花粉を体内に入れないように防御する体の反応が花粉症の症状です。

 このことから治療は、体内でヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質の放出や作用を抑える薬の服用が中心となります。毎年症状が重い人は、花粉が飛び始める2週間くらい前から服用を始める「初期療法」が効果的です。症状の出始める時期を遅らせるほか、花粉が多い時期には症状を軽くすることが期待できます。

 また、症状が強くなってからはじめる「導入療法」は、ヒスタミンを抑える作用の強い薬や、鼻にスプレーするステロイド点鼻薬などが用いられます。

 「初期療法」や「導入療法」で症状が抑えられた場合は、その状態を保つことを目的として「維持療法」が行われます。症状が治まっていても、花粉が飛散している間は治療を継続することが大切です。

 日本気象協会の発表によると、2016年の近畿地方におけるスギ・ヒノキ花粉の飛散開始時期は2月中旬とのことです。花粉症でお悩みの方は、早めに医療機関を受診し、自分にあった治療法を相談しましょう。

 また花粉の飛散シーズン中には、花粉症の症状悪化を防ぐため、できる限り花粉に接触しないように工夫することも大切です。外出時はメガネやマスクを着用し、帰宅時には服や髪を払ってから家に入り、洗顔、うがいなどを行いましょう。

 これらの対策をとって、辛い花粉シーズンを乗り切ってください。