「秋バテ」ってどんな病気?対策は?

奈良県医師会   清益 功浩

 「夏バテ」は夏に暑い日が続き、自律神経の変調を起こして、体調を崩すことです。原因として主に熱帯夜による睡眠不足や、高温多湿による体温調節機能の低下などです。

 一方、秋は日々の気温が安定せず、1日の中でも朝夕で大きく差が出てしまう時期です。「秋バテ」はこの寒暖差によって自律神経が変調を起こし、様々な症状を起こすことを言います。また、秋雨前線が停滞し、多くの台風が通過すると気圧が変動しやすいため、自律神経のバランスが崩れてしまいます。さらに夏の意識のまま冷たい物を食べすぎること、夏の間に冷房などによって体が冷えた日が多いと起こります。夏バテとの違いは、夏バテは暑さによるバテ、秋バテは温度差によるバテです。

 秋バテは症状から診断されます。

 秋バテを調べるための症状をセルフチェック式でリストアップします。

 

□食欲がない

□胃がもたれた感じがする

□疲れやすい

□体がだるい

□立ちくらみがある

□めまいがある

□頭がボーっとする、

  頭が重たい、頭が痛い

□なかなか寝られない

□朝が起きられない

□肩こりがひどい

 

  上記の症状が1~2週間以上続く時に、

  …2個あれば、秋バテかも?

  …3~4個で秋バテの可能性が高い

  …5個以上あれば秋バテですので、早めの対策が必要です。

 秋バテの対策として、自律神経のバランスを整えることになります。まずは、食事ですが、バランスの良い食事を1日3食で規則正しく摂ることです。できるだけ冷たい物を避け、温かい物を食べたり飲んだりします。食事中はゆっくりよく噛み、胃腸の状態を整えることが大切です。温度差対策としては、入浴が重要です。身体が冷えることで秋バテになりますし、眠りをよくするためにも37~39℃程度のお湯で身体を温めましょう。半身浴でも全身浴でも、腹部をきちんと温めるようにしましょう。体温調節のためには、運動が必要です。適度の運動することで、発汗機能を高めることができ、身体の血行を良くすることで、肩こりの原因になる乳酸などの疲労物質を代謝させることができます。無理のない範囲で自分の好きな運動だと長続きします。運動して少し疲れた程度で、十分な睡眠をとるようにします。睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、症状が悪化していきます。環境温度を整えるためには、無理をせず、衣服などで調節しましょう。

 秋バテの治療は、対症療法です。症状に応じての治療で、症状も長く続くことがありますので、できるだけ、予防に努めることが肝心です。