県医師会 清益 功浩
子どもの体温は通常、大人より高いです。個人差と年齢によりますが、36・5℃~37℃程度で、朝は低く、午後には朝より高くなります。よく使用する電子体温計は、水銀体温計より0・1~0・3℃高く表示される傾向があり、測定場所は、主に脇で体温を測ると思いますが、測る場所によって0・5~1℃程度違ってきます。通常の低体温は、脇での体温が36℃以下になります。
低体温は、体の内部を含めた温度の低下で、原因としては、寒い冬以外に夏でも冷房などによって冷えた環境で起こりうる現象です。保育園に通園している5歳児181名を対象とした2004年の調査(前橋明先生の報告)によると、朝登園時の体温が36℃未満 14・4%、36℃~36・9℃ 70・1%、37℃以上 15・5%です。子どもの体温も、1935年で37・2℃、1960年で37・1℃、1980年で36・3℃、1995年で36・2℃と平均が下がっています(田中英登先生の報告)。
低体温の子どもに共通する特徴は、「やせ気味」で、症状は「疲れやすい」、「集中力が無い」、「落ち着きが無い」、「動きが緩慢で反応が遅い」、「食欲にむらがある」、「身長の伸び・体重の増加が悪い」、「風邪にかかりやすい」などです。低体温の原因は自律神経の働きが悪くなるためです。低体温になると、しもやけもみられます。しもやけは、手足の血色が悪かったり、赤く腫れたり、かゆみや痛みがあります。
低体温の原因は生活にあって、睡眠・食事・運動を見直してみましょう。子どもの寝る時間はどうでしょう? 公益社団法人 日本小児保健協会が実施している幼児健康調査で、1980年と2000年で比較すると、夜10時以降に就寝する子どもの割合は、1歳6ヶ月児で25%から55%と、2歳児では29%から59%と、3歳児では22%から52%と、4歳児では13%から39%と、5~6歳時では10%から52%と増加しています。睡眠時間が減っている原因として、生活の変化、受験勉強、塾などの学習、夜間のテレビ、ビデオ、ゲーム、インターネット、携帯電話、スマホなどが原因になっていると考えられます。食事では、子どもたちの朝食の状況は、文部科学省によると、小学校6年生11・3%が朝食を摂らず、中学生になると、さらにその割合は増加しています。体力と朝食の関係では、朝食を毎日食べないと体力を示す数字が低くなっていますので、朝食を抜くことで運動しなくなります。運動不足で、熱を発生する筋肉が少なくなってしまうと、低体温になりやすくなります。
子どもの低体温対策はよく食べて、よく動き、よく寝ることです。よく食べることは、規則正しく、バランスのとれた食事を朝食、昼食、夕食にしっかりと摂り、寝る3時間前には夕食を終えておきたいものです。よく動くことは、継続的に運動していくことです。筋肉量が増え、体温も上がり、代謝がよくなり、ホルモンの状態がよくなることで、生活リズムが整い、よく眠れるようになります。よく眠るためには、寝室はシンプルにして、室温も湿度も適切に調節し、寝る前にスマホや電子書籍、テレビなどを見るのを止めましょう。休日も普段と同じ時間に寝て起きるようにして、朝はしっかりと太陽の光を浴びましょう。