元気で長生き、延ばそう健康寿命!

 

奈良県医師会    竹田 洋祐

 

 日本人の平均寿命は、男性80才、女性86才となり、世界最高水準の長寿国といえます。また、高齢者(65才以上)の比率は26・7%と初めて4人に1人を超え、まさしく「超高齢社会」を迎えました。

 単に長生きするだけでなく健康上の問題で日常生活が制限されない期間である健康寿命を延ばし「元気で長生き!」することは誰しもが願うところです。「予防に勝る治療はない」と言います。病気や障害が起こる前に、寝たきり・要介護にならないよう予防を心がけましょう。

 自分でしたいことができ、行きたい所に行くことを可能にするため日常の生活習慣の工夫と実践が大切です。 朝起きて夜寝るまでの普段の暮らしが自然の訓練となります。 つまり「どうすれば物事を素早くやり終えることができるか」ということに頭を働かせながら体をしっかり使いましょう。家事をこなす、歩く、またぐ、階段や坂の上り下りなどの動作をしっかり意識して行うことで、体力が保たれ、転倒、ひいては骨折の予防につながります。

 遺伝、年齢、糖尿病や高血圧など血管を痛めるような病気、頭部の外傷、大量の飲酒、うつ病などは認知症のリスクとされています。このうち遺伝や年齢は自身の努力でどうすることもできませんが、自分で良い生活習慣を身につけていくことは認知症の予防につながります。そこで生活習慣で心がけたいことは栄養バランスのとれた食事と定期的に運動する習慣を身につけることです。

 食事では、EPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸を含む青魚、抗酸化作用のあるビタミンEやCを多く含む野菜や果物を意識して、なるべくたくさんの種類の食品を摂ることが勧められています。

 運動が認知症予防に効果があるとされることには、いくつかの理由が考えられます。運動には血圧を下げたり血糖値の上昇を抑える効果があり、そして脳の血流を改善して神経細胞の活動を促進させることが期待できます。疫学的研究でも運動している人のほうが認知症の発症が少ないことが示されています。

 運動の種類としては、足裏を意識しながらの脈拍数が1分間120回以上になるような早歩き運動を定期的に行うのが効果的とされています。 その際、運動をしながら記憶や計算などをして脳を使うことも認知症予防に効果があります。 たとえばウォーキングしながら、「あ」で始まる言葉をできるだけ多くあげたり、100から3をひいていくなどの計算活動をすれば、さらに脳は活性化されるでしょう。