粉製品とダニが!?アレルギーに要注意!

 

 県医師会   清益 功浩

 ダニはクモの仲間で体長1㎜以下の小型の動物で、種類としては人を刺すマダニ、イエダニや直接人に被害を与えないチリダニなどがあります。 

 気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギーの病気の原因となっているのがチリダニの死骸や糞などのタンパク質です。チリダニは、25~30℃の温度、60~80%の湿度で、餌があればどんどん繁殖してしまいます。ダニが増えると死骸も糞も増え、よりアレルギーの症状を起こす危険が高くなります。ダニによるアレルギーで全身の症状は稀ですが、最近、ダニによってアナフィラキシーの症状がみられることが報告されました。つまり、ダニを含むものを食べると、1時間以内に咳込んだり、息ができない呼吸困難、ゼイゼイ、ヒューヒューと言った喘鳴、盛り上がった湿疹(血管性浮腫)、蚊に刺されたようなじんましん、鼻水、くしゃみ、鼻づまりがみられ、重症になれば、血圧が低下するショック状態、意識がなくなる意識障害などがみられます。

 

 ダニを食べる可能性があるのはどうしてでしょうか? パンケーキ、お好み焼き、たこ焼きなどの粉製品を摂取した直後から1時間以内にアナフィラキシーの症状が出た例が2010年に日本で59例報告されています。これらの報告例の原因は、開封後に数ヶ月間から数年にわたって室温保存していた粉製品でした。ダニは、卵から成虫までは約1ヵ月、寿命2~3ヵ月で、メスは50~100個以上の卵を産みます。10週間も経ってしまうとダニの数は約300倍にもなると言われています。お好み焼き粉やホットケーキミックスなどの粉製品は格好のダニの餌になりますので、開封してから戸棚の奥に入れておくと、まさにダニが増えることになります。このダニによるアナフィラキシーは元々、ダニに対するアレルギー反応がある人、ダニによる喘息のある人はリスクが高くなります。そこで、ダニによるアレルギーがあるかどうかチェックしてみましょう。

 

 □埃っぽい所では咳が止まらないことがある
 
□1年中、鼻水、くしゃみが続いていて、掃除の時などで悪化する
 
□1年中、目がかゆく、掃除の時などで悪化する
 
□掃除をしていない状態が続くと、咳、鼻水、目のかゆみなどが出てくる
 
□血液検査で、ダニに対するIgEというタンパク質が見られる
 
□咳、鼻水、くしゃみなどの症状は屋内の方が多い

 これらのうち、1つでもあれば、ダニによるアレルギーがあるかもしれません。

 ダニ対策としては、ダニを入れない増やさないための粉製品の保存が大切になります。開封したら早めに使い切ること、小分けになっている製品を使うこと、使いきれなくて保存する場合は冷蔵庫で保管すること、可能なら除湿剤を入れておくことです。冷蔵庫に保存しても安心はできません。できれば、必要な分を購入して使い切りたいものです。