県医師会 清益 功浩
気管支喘息とは、口から肺までの空気の通り道に気管支という管があります。気管支にある平滑筋(へいかつきん)と呼ばれる筋肉が収縮して、さらに、気管支の内側にある気管支粘膜が腫(は)れてしまい、分泌が増えることで、管状である気管支の内腔が狭くなり、空気の流れが悪くなる病気です。この状態は慢性的なアレルギー炎症を起こしている結果として起こっています。つまり、気管支喘息は長期にわたる治療を必要とする慢性の病気で、アレルギー炎症を抑える治療が必要になります。
症状は、空気が狭くなった気管支を通ることになるので、丁度、笛のような原理で、呼吸のたびにゼイゼイ、ヒューヒュー、ゼロゼロといった音がするようになります。これを喘鳴(ぜんめい)と言います。さらに、咳、痰が絡む咳、息がしにくくなる呼吸困難を起こします。息がしにくいと、肩で息をする、体を起こしていないと息ができない、息をする回数が増えますので、こうした症状が出たら、速やかに喘息の治療が必要です。
気管支喘息の原因は、気管支にアレルギーと言う炎症状態を作っている原因物質と、ゼイゼイと言った喘鳴が起こった状態である喘息発作の悪化因子、誘発因子です。子どもでは、ダニ、家のホコリ、ペットの毛やフケ、ゴキブリや蛾などの昆虫などが原因物質であることが多く、タバコや花火の煙、風邪などが悪化因子、誘発因子になっています。風邪が喘息発作の原因になっていますので、風邪の引きやすい季節は喘息にとって注意が必要な季節です。春と秋には喘息発作が多いと言われています。
春と秋は鼻水を起こしやすいライノウイルスが流行します。秋はRSウイルスが流行します。ライノウイルスもRSウイルスも気道に感染し、喘息発作を誘発します。さらに、春と秋には、気圧の変動も多いために、喘息発作が増えます。幼児、学童期では、秋には運動会があります。気管支喘息の状態がよくないと、運動によって喘息発作が誘発され、これを運動誘発喘息と言います。さらに砂ボコリなどもあり、秋は気管支喘息にとってはツライ季節と言えます。
喘息発作を予防するには、普段から気管支喘息の長期にわたる治療が必要です。主な原因であるダニや家のホコリなどを掃除などで減らす環境整備をしましょう。掃除機は1平方メートル当たり20秒かけて使用しましょう。気管支喘息はアレルギー炎症ですから、炎症を抑える抗炎症薬であるステロイドの吸入を中心に治療が行われますが、喘息発作がよく起こっている場合は治療の見直しが必要です。秋に喘息発作が起こっている場合は、悪化因子、誘発因子が身の回りにないか生活を見直し、喘息の治療が不十分な可能性がありますので、かかりつけ医に相談しましょう。