Hib(ヒブ)ワクチンを接種できます

奈良県医師会 竹内 大志

 へモフィルスインフルエンザb型菌(略してHib)は、子どもの咽喉や鼻などに常在する細菌で、冬に流行するインフルエンザのウィルスとは全く別のものです。体力や免疫力が落ちた時などに、血液や肺に入り髄膜炎、敗血症、急性喉頭蓋炎など重篤な病気を引き起こします。

 5歳以下の乳幼児に多く、わが国ではHibによる細菌性髄膜炎が年間約600人発症していると推定されています。この病気になると5%が死亡し、25%に聴力障害やてんかんなどの後遺症が残ります。さらに最近では、薬剤への耐性が進んで、この感染症の治療が難しくなる傾向にあります。

 小児ではHib感染による細菌性髄膜炎が一番多く、また早期診断や治療が難しいために、ワクチンが開発されました。WHOが勧める声明を出してから、現在、世界百ヵ国以上でワクチンが接種されていて、接種率の高い国ではHibによる細菌性髄膜炎が減少しています。日本では、安全性の確認を経て、昨年12月に発売されました。

 このワクチンには、欧米の牛に由来する成分が使われています。我が国ではBSE(牛海綿状脳症)が発生した国の牛は医薬品に使わないのですが、欧州薬局方委員会から医薬品製造に適合しているという証明書が発行されていますし、このワクチンで伝染性海綿状脳症が発生していないことから、危険性は無視できるほど低いと考えられます。接種前に必ず説明を受け、ワクチンの利点と危険性の十分な理解をお願いします。

 接種年齢は初回免疫として、生後2ヵ月から7ヵ月になるまでに接種を開始して4~8週間の間隔で3回、追加免疫として3回目の接種から約1年後に1回の計4回、接種します。

 副反応として接種部位の発赤や腫脹が見られることがありますが、数日で消失します。その他、発熱が数%起こります。重い副反応としてショックやアレルギー反応、けいれん、血小板減少性紫斑病が報告されていますが、非常に稀です。

 今は自費による任意接種ですが、有効性から公費の定期接種になることが期待されます。

 Hibワクチンについてわからないことがあれば、かかりつけの医師にご相談ください。