奈良県医師会 竹田 洋祐
家庭でも血圧が測れるようになり、起床前後から血圧が非常に高くなる「早朝高血圧」が明らかになってきました。
高血圧治療の目的は、合併症である脳卒中、心筋梗塞、慢性腎臓病などを減らすことにありますが、1日のうち午前中、特に早朝には脳卒中や心筋梗塞(しんきんこうそく)などを発病することがほかの時間帯より3倍も多いことが分かってきました。
夜間低くなっている血圧は、朝方目覚めるころから急速に高まっていきます。 もともと血圧の高い人にとっては午前中、特に早朝が一番危険な時間帯ということになります。
血圧には1日2回のピークがあり、起床時前後の早朝と夕方の6~8時が高く、食後のだんらん後に下がってきます。朝の血圧の上がり方は、普通の人で本来20ぐらいですが、高血圧の人では、最高血圧が160から180にもなり、また200を超える人もいます。
日頃、血圧の高い人は、血圧を135~85以下にしっかりと下げる必要がありますが、治療を受けている人でもコントロールが不充分なこともあります。
相変わらず高血圧から動脈硬化が進み、早朝に脳卒中や心筋梗塞で倒れる人が多いのはこういう理由からです。
昔はどうしても血圧が下がらない人もいましたが、現在は降圧薬(こうあつやく)の進歩で、確実に目的の血圧まで下げることができるようになりました。
血圧が朝だけ上がる人は、夜寝る前に降圧薬を服用すると効果があります。 最近は長時間作用性の降圧薬も出始め「早朝高血圧」もコントロールできるようになりました。
もともと高血圧の人は普段から高い血圧に慣れていることもあって、早朝高血圧の場合でも特に自覚症状はないのが普通ですから、なおさら気をつけねばなりません。
血圧が心配な方は、起床後と寝る前の家庭血圧を記録し、かかりつけの医師にご相談ください。