ヘモグロビンA1c

久保 良一

40歳以上の人を対象とした特定健診で異常が見つかった時には、生活習慣病の予防も含めた保健指導や支援が行われています。

生活習慣病のなかでも、糖尿病の早期発見は特に重要です。血糖値と言って、血液中のブドウ糖の濃度を高い状態のまま放置していると、動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞などを起こしやすくなります。

特定健診で、糖尿病の人や、将来、糖尿病になりやすい人(予備軍)をふるい分ける血液検査として、「空腹時血糖値」または「ヘモグロビンA1c(エーワンシー)」が測られます。

ヘモグロビンA1cとは、赤血球の中にある赤い色素のヘモグロビンにブドウ糖がくっついたもので、血糖値が高いほど、また高血糖の期間が長いほど、高い値になります。

血糖値は、食前食後等で常に変動します。しかし、ヘモグロビンA1cは、採血した日より1~2ヵ月前からの食事や運動量で変動した血糖値の平均を表す値であるため、検査前の食事が影響しません。

また、この値が正常値より高いということは、過去に高血糖の状態が続いていて、糖尿病や糖尿病予備軍になっている可能性が大変大きいことを示します。

以上のため、信頼性が高い検査と言えます。ただし、貧血や肝硬変がある時には、検査の値が正確に出ないこともあります。

ヘモグロビンA1cの値は「%」で表します。特定保健指導では、5・2%以上の値になると糖尿病に関する指導を行う対象となり、メタボリックシンドロームの判定より厳しくなっています。また6・1%以上の人には医療機関の受診が勧められ、さらに6・5%以上になると、糖尿病の疑いが強くなります。

糖尿病を予防するために、ヘモグロビンA1cを正しく理解し、そして初期の血糖異常を早く発見するために、ヘモグロビンA1cの検査を受けましょう。

また、検査の値に応じ、医師らの助言にしたがって、食事や運動など、生活習慣の改善に努めましょう。