献血での検査サービス(1)糖尿病も

奈良県医師会 嶋 裕子

輸血用の血液は、現在でも人工的に作ることはできません。献血にご協力していただくことでのみ、確保することができます。

日本赤十字社では、献血をしていただいた方への感謝の気持ちとして、検査を行った7項目についてその成績をお知らせするサービスをしています。

このたび、生活習慣病等の増加など国民に多い疾病が変化していることから検査項目を見直しました。献血者の皆さんから希望が多かった、糖尿病を調べる検査(グリコアルブミン検査)を今年の3月から始めたのです。

今回は、そのことについてお話しいたします。

糖尿病は、血液中のブドウ糖の値(血糖値)が適正範囲を超えて上昇した状態が慢性的に持続することで様々な組織や臓器の障害が生じる一連の病気です。生活習慣や社会環境の変化により急増している糖尿病は、初期の段階では自覚症状がない場合が多いため、気づかずに放置されていることが少なくありません。現在、日本の糖尿病患者は、予備軍も含めると約2210万人と言われています。

一般的に行われている検査は、血液中のブドウ糖を測定する検査で、空腹状態での採血が必要であり、献血には不向きでした。しかし、今回導入した「グリコアルブミン検査」は、血液中に存在するアルブミンというタンパク質が血液中のブドウ糖と結合してできるグリコアルブミンという物質を測定するため、食事に影響されません。検査の標準値は16・5%未満となっています。なお、グリコアルブミン検査は、輸血用血液の安全性を確保する検査ではありませんので、万が一、今回の結果が標準値より外れていても、次回の献血には、さしつかえありません。

ぜひ、グリコアルブミン検査で糖尿病をチェックし、健康管理にお役立てください。

現在の検査サービスでは、血糖値のほか、肝機能や血清の脂質などを調べています。そして、その結果を、通知を希望された全ての献血者へお知らせしています。

詳しくは、次回にお話しいたします。

7月は献血推進月間です。献血にご協力いただくことで皆さんの健康維持に役立てば、とても嬉しく思います。