奈良県医師会 七浦 高志
日本では、今年の5月に初めて新型インフルエンザが発生しました。その後も感染が続き、今秋から冬にかけても、さらに増え続けると予想されています。
新型インフルエンザは、感染した人がせきやくしゃみをした時に、そのウイルスが飛び散って、それを他の人が吸い込むことにより感染します。これを飛沫感染と呼びます。
また、感染した人の手についたウイルスが、物を介して他の人の手に付着し、その手で鼻や口をさわることにより感染します。これを接触感染と呼びます。
感染してから発症までの潜伏期間は、1~4日です。症状は、季節性インフルエンザとほとんど変わらず、突然の38度以上の発熱、せき、のどの痛み、鼻水、寒気、頭痛、関節痛、全身のだるさ、時に下痢(げり)や、おう吐(と)などです。
新型インフルエンザであっても、季節性のものと同じように、早い間にタミフルやリレンザといった抗ウイルス薬を服用すると、ほとんどが改善します。
ただし、次にあげる人たちは重症化しやすいので、注意が必要です。喘息などの呼吸器の病気、心臓病、腎臓病、糖尿病の基礎疾患を持つ人、ステロイド薬を服用しているなど免疫が下がっている人、妊婦、乳幼児、高齢者です。こうした人たちは、肺炎やインフルエンザ脳症などを起こすことがあります。
呼吸が速い、息が苦しそう、顔色が悪い、話しかけても反応が悪い、けいれんがあるなどの症状は、重症化している可能性がありますので注意してください。
人からうつらないための予防としては、うがいや手洗いの励行、人込みを避ける、睡眠を充分にとって体調を整えることを心がけてください。
また、公衆の場では、インフルエンザの感染にかかわらず、せきやくしゃみの出る人がマスクをする、もしくはティッシュやハンカチで口や鼻を押さえる「せきエチケット」を守りましょう。
そして、インフルエンザと思われるような症状が出た時は、早めにかかりつけ医に相談してください。その際、いきなり医療機関に行くのでなく、感染を拡大させないために、必ず事前に電話で連絡しましょう。