生活環境と子どもの事故

奈良県医師会 澤井 遵

めざましい医学の進歩により、子どもの死亡数は減少しました。しかし、子どもの事故による死亡率の低下は、疾病による低下ほど著明ではなく、さらに、実際に発生する事故は、ほとんど減少していません。そこで、子どもの主な生活場である家庭内での事故とその事故防止策について述べてみましょう。

A.台所

食卓上の熱い飲食物、ポット、炊飯器、ストーブ、電気器具によるやけど、タバコ、薬品、洗剤による異物誤飲、包丁による刺し傷、切り傷などが見られます。

対策としては、天ぷらを揚げるときは、子どもをそばに来させない、炊飯器、ポット、包丁、タバコ、薬品、洗剤は、子どもの手の届かないところに置くようにする、などを心がけましょう。

B.浴室

水遊びができ、楽しい遊び場の一つですが、最も重症事故の見られる危険な場所です。対策としては、勝手に浴室に入らないよう鍵をかけたり、浴槽に水を張るのをやめましょう。また、浴室に一人にしないことも重要です。

C.階段

1歳から1歳半頃の転落事故が多く見られます。転落防止用の柵を階段の上下に取り付けたりして、子どもが階段に入れないようにしましょう。

D.ベランダ、窓

ベランダや窓からの転落事故は、骨折、頭部打撲や、死亡するなど重症事故になります。ベランダや窓に、踏み台になるような物を置かないようにしましょう。

E.居間

あらゆる種類の事故が発生しています。転倒に対しては、じゅうたんに段差がないかチェックし、床は、滑りにくいように工夫し、かどの鋭い家具があれば、かどを覆うようにしましょう。ストーブは、直接熱源に触れられないように柵で囲いましょう。子ども用のいすは安定のよいものを使用し、いすに座らせるときには、ベルトをつけましょう。

F.洗面所、トイレ

誤飲事故が多い場所です。子どもは母親の化粧品類に興味津津なので、置き場所に注意しましょう。また、トイレ用の洗剤は、強力な酸や塩素が使われているので、必ず、子どもの手の届かないところに保管しましょう。