奈良県医師会 澤井 遵
夜尿症とは、夜間睡眠中に無意識のうちに排尿することです。幼児期の夜尿症は生理的な夜尿症であるため、全く心配は要りません。5~6歳を過ぎてもなお続くものが、生活指導や治療の対象になります。夜尿症の日常生活の注意点を中心に説明します。
《夜尿症のタイプ》
夜間尿量が250ml以上あるものを「多尿型」、夜間尿量が少ないのに膀胱が小さいために夜尿をするタイプを「膀胱型」と言い、さらにその「混合型」の三種類に分類されます。
《夜尿症の日常生活の注意点》
以下の生活指導については、子どもも親もよく理解し、「起こさず」「あせらず」「怒らず」を基本原則にして、よりよい生活習慣を身につけていくことが克服の第一歩になります。
①夜間無理やり起こさない
夜間尿量を調節する抗利尿ホルモンは、夜間睡眠中に分泌量が多くなる性質があります。子どもが成長するにつれ、夜間に抗利尿ホルモンの分泌が多くなり、尿量が少なくなります。連日子どもを起こしていては、抗利尿ホルモンの分泌量は増えません。
②よい水分の摂取リズムを
朝起きてから、午前中の水分摂取量を多くして、夕方以降は制限します。こういうリズムは、夜間の抗利尿ホルモンの分泌の増加につながります。
③冷え症タイプは暖めて寝る
秋~冬の冷え込みによる夜尿症の悪化予防のため、寝る前にゆっくり入浴したり、布団をあらかじめ暖めておいてから寝るようにしましょう。また、腹巻き、靴下も効果的です。
④膀胱が小さい「膀胱型」には、おしっこのがまん訓練を
尿意を感じてもすぐ排尿せず、ぎりぎりまで我慢させ、ある程度の尿をためられるように訓練しましょう。
《夜尿症の薬物療法》
学童期以降の夜尿症には、生活指導に加えて薬物療法を併用すると、効果的なことがあります。お子さんの夜尿症でお悩みの方は、一度かかりつけの医師にご相談ください。