奈良県医師会 竹内 大志
生活環境や食生活の変化に伴い、アレルギーのある子どもたちが増えています。
2008年、文部科学省は、学校でのアレルギー疾患の実態を把握するために小学校、中学校でのこれらの疾患の児童生徒の全国調査を行いました。この調査によると、気管支喘息(きかんしぜんそく)5・7%、アレルギー性鼻炎9・2%、食物アレルギー2・6%あり、アレルギー疾患は稀な疾患ではなく、学校でのより一層の取組みが必要とされています。
これらの結果を踏まえて、学校でのアレルギー疾患に対してきめ細かく対処するために、「疾患の有無」「今日の病状」「服用している薬剤」「学校生活での留意点」「緊急時の連絡方法」などを保護者に記入してもらい、教職員全員がこれらの情報を共有して、より安全に学校生活を送れるよう取り組むことになりました。
特に食物アレルギーでは、0・1~0・2%の児童生徒が重篤なアレルギー症状を起こすために、緊急事態が発生した際に教職員が救急対応法を前もって決めておくことが求められています。
また食物アレルギーでの学校給食における取り組みでは、医師の食事指導表に基づき配慮している割合は8割程度と十分ではなく、保護者に負担をかけてないように、今後、学校給食設備を整備して出来るだけ除去食、代替食を提供するように努力することになりました。ところで、重症なアレルギー症状は、給食以外にも、課外活動などで原因抗原に接触しても発生することがあるので、十分に注意する必要があります。
食物アレルギーは年齢が進むに従って軽快することも多く、重症度も様々で、また調理方法も影響しますので、素人判断せず一度専門医を受診して、正しい診断してもらうことをお勧めします。
医師、学校保護者がプライバシーに配慮しながら、お互いに連絡を取り合って情報を共有し、アレルギーを持つ児童が健常児と同じく安心して楽しい学校生活が送れるよう、一層の取り組みが期待」されています。