県医師会 七浦高志
インフルエンザの流行は例年12月上旬頃から始まり、翌年の1〜2月にピークを迎え、3月末から4月にかけて減少します。そのため、インフルエンザの予防接種は11月中に受けることが望ましいです。ワクチンを打ってもインフルエンザにかかるので、どうしようと迷われる方も少なくありません。確かにワクチンは感染を完全に抑えることはできません。しかし、かかっても肺炎などの重い合併症になるのを軽減してくれますので、受けることは大切です。
流行するインフルエンザウイルスにはA型とB型があります。インフルエンザは感染した人が咳やくしゃみをした時にウイルスが飛び散って、それを他の人が吸い込むことにより感染します(飛沫感染:ひまつかんせん)。
また、感染した人の手に付いたウイルスが物を介して他の人の手に付着して、その手で鼻や口を触ることにより感染します(接触感染:せっしょくかんせん)。
感染してから発症までの潜伏期間は1〜3日です。症状は突然の38度以上の発熱、寒気、全身のだるさ、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が現れ、同時か少し遅れて鼻水、咳、のどの痛みなどの呼吸器症状が現れます。そして、発熱が3〜4日続いた後、1週間程度で落ち着きます。
しかし、ぜんそくなどの呼吸器の病気、心臓、肝臓、腎臓に重い病気のある人、糖尿病、ステロイドのような免疫力が低下する薬を服用しているなど、基礎疾患がある人のほか、妊婦、乳幼児、高齢者は肺炎や脳症など重症化することがあります。
ご自分でできる予防としては、うがい、手洗いの励行、人混みを避ける、睡眠を充分とって体調を整えることを心掛けましょう。
そして、インフルエンザと思われる症状が出れば、かかりつけ医を受診して検査を受けましょう。インフルエンザウイルスの抗原を検出する迅速キットを用いた方法です。綿棒で鼻腔内の粘膜をこすり液体に浸して、約10分後に結果が陽性であれば抗インフルエンザ薬の処方を受けましょう。それには内服のタミフルとゾフルーザ、吸入のリレンザとイナビル、点滴のラピアクタがあります。これらの治療薬により、発熱や全身症状が1〜2日間短縮できますが、発症後48時間内に受けなければ効果が弱いため、早期の受診をお勧めします。