奈良県医師会 増井 一弘
皆様は今までに風疹に罹られたか、風疹ワクチンを2回接種されましたか?
風疹は一般に『三日はしか』と言われ、飛沫感染により人から人へ感染し、ウイルスに感染後2-3週で、発熱、全身倦怠感、頭痛、咽頭痛、鼻汁、咳などの上気道炎症状、頚部リンパ節腫脹に引き続いて、小さな鮮紅色の丘疹が出現する疾患です。
通常は、発疹が顔から体、四肢に広がりますが2-3日で消失し、リンパ節腫脹も数週間で消失します。まれに関節炎や脳炎、血小板減少性紫斑病を発症することがあります。また、20週までの妊娠中の婦人が感染すると、流産・早産の原因となり、胎児に低体重、心奇形、聴力障害、白内障、髄膜脳炎や脳性麻痺等の症状を有する先天性風疹症候群(CRS)を発症することが報告されています。
風疹の予防は、未罹患者や、風疹抗体価の低い方にワクチンを接種することです。ワクチンが定期接種される1990年代までは、風疹は感染力が強いため、数年ごとに流行を繰り返していましたが、ワクチンが定期接種されるとともに感染数は減少しました。現在は、1歳児と小学校就学前1年間の2回、麻疹・風疹(MR)混合ワクチンが公費負担で接種されています。
しかし、風疹の予防接種が開始された昭和52年当初、風疹の予防接種は、先天性風疹症候群の発症予防のため、女子中学生を対象に接種が行われたことから、昭和37年(1962年)4月2日から、昭和54年(1979年)4月1日に生まれた男性には風疹抗体価が低い方が多数存在し、現在もその世代の男性を中心に風疹患者が発生しています。
そのため、平成31年4月から、昭和37年(1962年)4月2日から、昭和54年(1979年)4月1日に生まれた男性に対し、予防接種法に基づく定期接種の対象として3年間の期間限定で、全国の登録医療機関において原則無料で風疹抗体を測定し、風疹抗体価が低い方に公費でワクチンを定期接種することになりました。
対象者にはクーポン券が送られますが、クーポン券が発行されない方にも受診対象者が存在することがあります。クーポン券が郵送されていない方で抗体検査の希望者は市町村に確認し、クーポン券を発行してください。
受診方法は、クーポン券と現住所の分かる書類(保険証、免許証など)を実施医療機関に持参し、風疹抗体検査を受けてください。検査の結果、基準値以上の風疹抗体価があれば、風疹ワクチンを接種する必要はありません。しかし、風疹抗体価が基準値未満であれば、ワクチン接種を受けてください。
また、奈良県では、令和2年1月31日までの期間限定で、平成2年4月1日以前生まれの方も、奈良県福祉医療部医療政策局疾病対策課に書類を郵送するか、管轄の保健所に来所して申請することでも風疹抗体検査が可能です。
期間限定の検査・ワクチン接種ですが、この機会に風疹検査を受けて、風疹に罹るリスクを減少させましょう。