子宮頸がん予防ワクチン

奈良県医師会 三橋 仁美

子宮頸がんは、女性特有のがんとしては乳がんに次いで罹患率(りかんりつ)が高く、特に20~30歳代のがんでは第1位となっています。子宮頸がんは子宮入り口にできるがんで、ヒトパピローマウイルス(HPⅤ)感染によって起こります。病気の初期にはほとんど症状が現われず、子宮頸がんが見つかった時にはすでに病気が進んでいることが多いがんです。

子宮頸がんの主な症状としては、月経時以外の出血、性交時出血、血性のおりもの、下腹部痛、腰痛等があります。

子宮頸がん予防ワクチンは、がんを起こすHPⅤの感染を予防するもので、現在2種類のワクチンがあります。十分な予防効果を得るためには、半年間に3回の接種が必要となります。

ワクチンの安全性については、接種後7日間に注射部位の発赤・痛み・脹れ(はれ)が高頻度に見られ、疲労・頭痛・筋肉痛等の症状が現われることもあります。重篤な副反応はまれといわれていますが、他のワクチン同様にショックや失神を生じることもありますので、接種後は体を休め、観察を行なってください。

ワクチン接種の対象者は性交をもつ前の中学生ぐらいが最適ですが、HPVに感染している可能性がある場合も、再感染を予防する目的で接種を受けてもかまいません。

日本では年間1万人もの女性が新たに子宮頸がんになり、約3,500人が死亡しています。子宮頸がんは予防できるがんです。ワクチンでがんを予防し、検診で早期発見に努めることが大切で、健康を守ってください。