奈良県医師会 亀田 光二
ストレッチは、筋肉や筋(すじ)を伸ばすことによって、筋肉や関節の状態を良くするための運動です。
筋肉を伸ばすことによって筋肉の緊張が取り除かれ、血液の流れが良くなり、また、筋(すじ)がやわらかくなり関節の動く範囲が広がります。その結果、痛みの改善やけがの予防などの効果があります。
筋肉や関節は、動かさないでいると固まってしまいます。通常は普段の生活の中で使って動かすことや、無意識に「伸び」をして固まることを防いでいます。けがや障害が起きた時は、その部分が動かしにくくなるので、一定の期間が過ぎたら患部の周囲を動かさなければいけません。そこで、リハビリの期間にはストレッチを応用した専門的な運動療法が行われます。
一人でも気軽に行えるストレッチは、肩こりや腰痛、こむら返りなどの予防に有効です。特に、こむら返りが起こっているときのストレッチは即効性のある対処法で、つっている筋肉を伸ばすことになるので楽になります。実際にストレッチを行うときは、力を抜いた状態で、手などで関節を動かして筋肉をゆっくりと20秒程度伸ばします。
手軽にできるストレッチですが、いくつかの注意点があります。まず、無理をしないこと。無理な力をかけることで筋肉や関節を痛めることがあります。次に、体が冷えた状態では行わないこと。暖かい部屋で、特に入浴後などにリラックスした状態で行うとよいでしょう。最後に、けがをした直後には行わないようにしましょう。けがが余計にひどくなることがあります。
筋肉や関節などが痛むときは、薬や手術だけが治療法とは限りません。自分でストレッチをするだけで、ずいぶん楽になることも多いので、かかりつけの医師に適切なストレッチの方法を聞いてみるとよいでしょう。