奈良県医師会 勝井 建彦
痛風は、生活習慣病の一つです。以前は中年の病気とされていましたが、最近は飽食時代のため、若年者にも多くみられるようになりました。
プリン体という物質がもとになり、細胞の新陳代謝やエネルギーの消費によって出来る老廃物質が尿酸です。これが体内に蓄積され、血清尿酸値が7.0㎎/dl以上になった高尿酸血症の状態を痛風といいます。尿酸結晶が関節周辺に沈着して、突然の痛みで発症することが多く、足の親指やアキレス腱(けん)周辺、膝周辺に起こります。長期に及ぶと痛風結節を作ったり、腎障害を引き起こすこともあります。
痛風が発生するしくみから、尿酸の排泄が悪いタイプ、尿酸の作製が多いタイプと、双方の混合タイプの三つに分けられます。また、痛風を引き起こす要因としては、アルコール(特にビール)の飲み過ぎ、食べ過ぎ(特にプリン体の多い物)、それに伴う肥満、ストレス、生まれつきの体質などが考えられます。
治療としては、まず食生活の改善が重要で、アルコールが止められるならば止めること、無理ならビールを焼酎やウィスキーなどのプリン体の少ない蒸留酒に変えること、肉類などの酸性食品を出来る限り控えて野菜類などのアルカリ食品を多く摂る習慣をつけ、総カロリーを抑えることなどが必要です。また、大切なのは水分をたくさん摂って(特に汗をかく夏のシーズン)尿量を増やすことです。一日2リットル摂取を目標にしましょう。
薬物療法も大切で、どのタイプに属する痛風かを診断してもらい(尿検査で大体は分かります)、タイプに応じた薬で尿酸値をコントロールするといいでしょう。尿が酸性の人はアルカリに変える薬を飲んで尿酸を溶けやすくしましょう。痛みの強い発作には鎮痛剤の内服、発作予感時には発作を予防する薬もあります。
痛風は、長期間の根気のいる尿酸値コントロールが大切です。痛みが無くなったからといってコントロールを止めてしまうと必ず再発します。根気よく続けて快適な日常生活を送ってください。