奈良県医師会 小原 壮一
私の専門は泌尿器科ですが、今回は患者として、そして医師として、ある疾病について記させていただきます。
それは尋常性乾癬という病気で、症状は、全身の皮膚に赤い斑点ができ、それがまるで地図のごとく融合し、さらにその赤い斑点の表面は、白く変化してフケのようにして剥がれ落ちていきます。もちろん、フケが落ちても赤い斑点は残ります。このような変化は、関節部、頭、擦り傷跡の皮膚によく起こり、食事やストレス、生活習慣などで生じる一種の自己免疫疾患だと言われています。
私の乾癬は大学を卒業した約35年前からで、どんなに悩んだことか。誰でもゴルフなどスポーツの後の入浴は爽快なものですが、脱衣場で裸になると全身に出来た赤い地図をチラッと、時にはじっと見られ、あからさまにいやな顔をされます。その時の羞恥心は、舌筆し難いもので、この病気を患っていない方には到底理解出来ないと思います。
いまは、開き直りで、平気で温泉やゴルフに出かけていますが、これまでの自分の人生は、この病気がもとで本当に多くの鬱的な時間が費やされました。
乾癬の治療法は、ステロイドや活性型ビタミンD3などの外用剤の塗布、特殊な紫外線による光線療法、免疫抑制剤の投与など種々あります。しかし、治療により一時的には良くなりますが、必ず再発します。
欧米の文献には、乾癬の患者は前立腺がんなど悪性腫瘍の発生率が高いという報告も見られます。ことに日光療法による皮膚がんの発生は重大です。
そこで、長年苦しんできた私の経験を提案いたします。この病気は治らないと開き直り、より進行しないようにするため、日々の生活習慣を律してください。これが一番です。