頭痛は治せます

奈良県医師会 竹川 隆

慢性的な頭痛に悩む人は、我が国で約3千万人いると言われていますが、そのなかで、実際に医療機関で診察・治療を受けている人は3割にすぎません。その原因は、「頭痛持ち」という言葉があるように、持病としてあきらめている人が多いからではないでしょうか。

頭痛は、原因や症状をきちんと把握し、適切な対策をとれば、症状をやわらげることは十分可能です。

慢性頭痛の原因のほとんどは、血管性頭痛と緊張性頭痛の2つです。このほか、高血圧症や低血圧症、睡眠不足、貧血などが原因で起こる場合もあります。

血管性頭痛は頭部の血管の拡張、収縮によって起こる頭痛を言い、片頭痛(必ずしも片側だけとは限りません)と言われるものです。ズキンズキンと脈打つような強い痛みが特徴で、吐き気を伴う場合もあります。前兆として目がチカチカしたり、目が見えにくくなったりすることもあります。

緊張性頭痛は頭全体が締めつけられたり、はちまきを強く巻いたような痛みがあります。目の奥が痛んだり、肩や首が凝り、めまいを伴う場合も多くみられます。緊張性頭痛は、「ストレス頭痛」とも呼ばれることがあり、文字通り身体的、精神的ストレスが主な原因となっています。この緊張性頭痛は、慢性頭痛の7~8割を占めると言われています。

症状から頭痛をみると、発熱を伴い、意識障害がある場合は脳炎、髄膜炎、脳腫瘍などが考えられ、また突然の激しい頭痛で意識障害がある場合は、くも膜下出血、脳出血、脳血栓・脳塞栓、高血圧性脳症などが考えられます。その他、 繰り返す頭痛には片頭痛、群発頭痛、三叉(さんさ)神経痛などが疑われます。

以上のように、頭痛とひと口に言ってもその症状はさまざまで、原因も異なります。急性の頭痛は言うまでもなく、慢性の頭痛であきらめている人も、自分の症状を把握したうえで、一度、医療機関を受診してください。

*なお、新型インフルエンザの市中感染がみられますが、冷静に対応してください。不急の外出を控え、念入りな手洗いやマスク着用を励行してください。37度8分を超える発熱やせき、身体がだるいなどインフルエンザを疑う症状がある人は、奈良県発熱相談センター0742-27-8658にご相談ください。