進行がんのつらい症状を緩和し
穏やかな日々を過ごしていただけるように
奈良県医師会 中辻正人(大和高田市立病院)
みなさん、緩和ケア病棟をご存じでしょうか?がんで亡くなる前に行くところ、あそこに行くのは死ぬ時やで、と思われているかもしれませんが、そうではありません。今回は、緩和ケア病棟についてお話しさせてください。
■緩和ケアとは
現在では、早期発見、早期治療でがんを克服された方々も含め、生涯のうちに悪性新生物(がん)と診断される確率は5割以上で、2人に1人はがんに罹患(りかん)するといわれています。2024年1年間にがんで亡くなられた方は38万人で、死亡者全体の24%を占めています。がんは身近な病気になっています。
がんと診断された直後から、身体的な不安、社会的な(家族関係、仕事、金銭的な面など)不安、死に対する恐怖など、心のつらさが出現します。がんは進行すると、痛み、吐き気、息苦しさ、倦怠(けんたい)感など、様々な体のつらさが出現することが多いです。
そういった心のつらさ、体のつらさを緩和することが緩和ケアです。緩和ケアは、亡くなる前のみに限ったものではなく、がんと診断されたときから受けてもらうことが大切です。
■緩和ケア病棟とは
一般病棟では、医師、看護師を含む医療スタッフは病気を治す治療、ケアに専念します。そのため、モニターのアラーム音などで慌ただしい雰囲気になってしまいます。緩和ケア病棟は、静かな雰囲気の中で患者さんやご家族の体や心のつらさを和(やわ)らげ、自分らしく過ごすことを大切にし、身体的、心理的に穏やかに過ごしていただく治療、ケアを行う病棟です。
緩和ケア病棟は、最期の看(み)取りだけでなく、痛みなどのつらさが強い時の症状を緩和するための一時的な入院、自宅療養に向けての症状緩和入院、介護される方の疲れを労(いた)わるレスパイト入院も可能です。いつでも面会が可能です。
現在、奈良県内には、おかたに病院(奈良市)、国保中央病院(田原本町)、天理よろづ相談所病院(天理市)、西奈良中央病院(奈良市)、大和高田市立病院、吉田病院(奈良市)〈五十音順〉の6病院に緩和ケア病棟があります。
■まとめ
がんに罹患されないのが一番ですが、もしがんに罹患され、体のつらさ、心のつらさをもたれた時、緩和ケアのことを思い出していただければ幸いです。読んでいただきありがとうございました。



