奈良県医師会 植月祐次
(天理市・うえつきクリニック)
前編(6月4日付)では、水分摂取・塩分・動物性タンパク質について解説しました。後編では、患者さんから特によく質問を受けるカルシウムとシュウ酸の話、そして再発予防のポイントをお伝えします。
③ カルシウムは「控える」より「適量摂る」
「結石にカルシウムが含まれているなら、カルシウムを控えた方がいいのでは?」と思う方は少なくありません。しかし実はこれは逆効果で、食事からのカルシウム摂取はむしろ結石予防に役立ちます。食事中のカルシウムは腸の中でシュウ酸と結びつき、シュウ酸が体内に吸収されるのを抑えてくれるからです。
1日の目安は600〜800mgですが、数字だけではイメージしにくいと思います。具体的には、牛乳1杯(約220mg)+ヨーグルト1個(約120mg)+食事の中で豆腐や小魚・青菜を取り入れる程度で、無理なく達成できる量です。特別な食品を用意しなくても、毎日の食事の中で乳製品を意識して摂(と)り、豆腐・しらす・小松菜などを組み合わせるだけで十分です。
ただし、サプリメントによる過剰なカルシウム摂取は逆にリスクを高める可能性があります。食事からの摂取を基本とし、サプリメントに頼りすぎないようにしてください。
④ シュウ酸を含む食品との上手な付き合い方
ほうれん草・たけのこ・ナッツ・チョコレートなどにはシュウ酸が含まれており、これらが結石の主成分のひとつであることは事実です。ただし、食事でのシュウ酸制限が結石予防に直結するかどうかは、現時点では科学的な根拠が十分ではありません。体内のシュウ酸の大部分は食事由来ではなく、体の中での代謝によって作られるためです。これらの食品を極端に大量に食べ続けることは避ける程度の意識で十分で、好きなものを完全にやめる必要はありません。
「コーヒーや紅茶もシュウ酸が含まれると聞いたけど控えるべきですか?」という質問もよく受けます。結論からいえば、過度に神経質になる必要はありません。大規模な研究ではこれらの飲み物が結石リスクを高めるという証拠はなく、むしろ水分摂取量が増えることで予防につながる面もあります。
⑤ 再発を防ぐために大切なこと
一度結石を経験した方は、再発リスクが非常に高いことを忘れないでください。再発予防のために最も重要なのは、やはり毎日の水分摂取の継続です。季節を問わず習慣として水分を意識することが、何より有効な対策です。
また、結石の種類によって食事指導の内容が異なる場合があります。尿酸結石の方にはプリン体の制限が、感染結石の方には別のアプローチが必要です。最近は洋式トイレや自動洗浄トイレなどの普及で難しくなってきましたが、排出した結石をとることができれば、泌尿器科で結石の成分を調べてもらい、自分の結石のタイプに合った予防策を主治医と相談することをおすすめします。
食事の改善は、一度にすべてを完璧にしようとする必要はありません。まず水分をしっかり摂ること、そして塩分・動物性タンパク質に気をつけること。この2点を日常生活に取り入れるだけでも、大きな予防効果が期待できます。気になる症状や再発が心配な方は、ぜひ泌尿器科にご相談ください。



